盆踊りへの思い

教室では年間を通して様々な活動をしています(花見から始まり、バス旅行、キャンプ、お茶会etc・・)
その活動で一番大きなイベントが盆踊りです。

 

最初、盆踊りの目的は、教室の受講生たちに日本の文化を楽しんでもらうためのものでした。
しかし、盆踊りを踊る受講生たちを見て気が付きました。
 勉強するときには見せなかった笑顔や、町の人たちと楽しそうに踊る様子を見て、学んだ言葉を実際に使える場面を用意し、言葉を使って人と繋がる体験をさせることが必要だと感じました。

 

地方の町の定住外国人受け入れは、外国人集住地域と同じようにはいきません・・ 都会の論理は地方の町には通じないことをイヤというほど知らされました(苦笑)

 

地方の町で国際化を推進するためには、定住外国人も一人の人間であることを理解してもらう必要があります・・島国日本たる所以?

 

土着で暮らす日本人は、国際理解や異文化理解にアレルギーな人が多いのが現実です。

20年前は町のあちこちで盆踊りが行われていましたが、東南アジアのお嫁さんを受け入れる雰囲気は皆無でした・・外国人の嫁に盆踊りを躍らせるなんて非国民(笑い話のような話が、まかり通った時代がありました)

何処も受け入れてくれないなら、自分たちでやるしかない・・と、協力を申し出てくれた数少ない人たち(50名)から始めた盆踊りです。

 

盆踊りのためのお金などありません・・とりあえず踊れさえすればいいと考えました。

ボランティアに御主人が大工の棟梁の人が居て、協力を申し出てくれ、小型トラックにかき集めた提灯をつるし、やぐらモドキを作ってくれました。

音響も、大きなカセットデッキにマイクを固定・・風が強いと音楽が聞き取れなかったり・・・

大工仕事の照明をかき集めて持ってきてくれ、薄暗い中での盆踊りでした。。

 

地位も名誉もお金もないボランティが無謀なことを・・と、たぶん笑われていたと思います。

 

でも・・受講生たちは大喜びでした。

踊りが大好きな異文化の人たち・・受け入れてもらえないお嫁さんたち・・

見ている方が嬉しくなるほど楽しそうに踊る受講生たちを見て、かき集めの盆踊りでも、この盆踊りをずっと続けようと決心しました。

 

踊る人達が毎年増えるのに、あまりにもお粗末な様子を見ていられない人たちが出てきました。

照明をもっと増やしたほうがいいいと、野球の試合の簡易夜間照明を貸してくれた人、子供たちに花火でもと大量に花火を差し入れてくれた人、音響設備を貸してくれた人 、焼きそばでも作って食べさそうかと焼きそば作りを引き受けてくれた彼・・焼きそば用の大きな鉄板を作ってくれた人・・

 

実績がなければ助成金さえもらえない時代・・・外国人の嫁に日本語を教えてどんなメリットがあるのかとも言われました。

 

しかし、継続することで見えてきました。

盆踊りを一緒に踊ってくれた人たちは、確実に日本語教室の応援団になってくれるのです。

特に高齢者と女性が、日本語教室の受講生たちに声をかけてくれるようになりました。

「みんな頑張ってるね」「日本語が上手になったね」「応援してるからね」「能代で頑張って生きている人たちだもの応援しますよ」

盆踊りの時しか会えないお年寄りもいます・・でも、みんな楽しみにしてくれ

ます。

 

ボランティアや町の人たちに支えられた盆踊りでしたが、成長した子供たちが手伝うようになってきました・・頼もしい助っ人たちです。

 

20年経ち、能代市内でおこなわれる盆踊りは、日本語教室が主催する盆踊りだけになってしまいました・・盆踊りを実施する団体も、協力する若者もいなくなってしまったからだそうです。

様々なイベントがあちこちで開催されていますが、盆踊りに目を向ける人たちはいません。

 

正直、助成金を頂かないと継続開催はできません・・踊る場所が広くなり、照明や音響も簡単なものでとはいかなくなりました。そして、日本語教室の人たちより町の人たちの参加が多く、屋台等の仕入れもかかります。

 

正直、今年で盆踊りをやめることも考えましたが・・

今年の盆踊りに来てくれた70歳ぐらいの方に「去年ここで盆踊りをやらなかったでしょ、もうやめたのかと思っていたら音楽が流れてきたので走ってきたの・・能代では貴方たちしか盆踊りをするところがなくて、この盆踊りを毎年楽しみにしていたの・・来年もここで盆踊りをするんでしょ?」

「ハイ、やるつもりではいます。昨年はこの公園が工事で使えなくて、ちょっと離れた子供館の前でやったんですよ」

「遠いと行けないから、この公園だとありがたい。音楽が遠くまで聞こえてきて、盆踊りやってるみたいだから行ってくればと主人に言われて走ってきたの・・来年も楽しみにしているからやってくださいね」

 

日本語教室の盆踊りは私たちのための盆踊りではなく、町の人たちの盆踊りになっていたんだと・・改めて気づかされました。

ボランティア仲間も・「来年もやりましょう、みんなで頑張って盆踊りを継続しましょう」と言います。

 

ちょっぴり・・シンドイけど・・

来年は頑張って助成金をもらうようにしなくっちゃ・・

 野菜などを提供してくれるを探そうかなー・・

などと・・休む暇がない(苦笑)

 

教室で育った子供たちが手伝ってくれるようになった・・そのことだけでも、良しとしなくては・・子供は大きくなるのが速いですね・・